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無意識のバイアス 人はなぜ人種差別をするのか
¥2,860
私たちは見て判断するのではない。判断して見ているのだ。 悪意の有無に関係なく存在する偏見、バイアス。それがいかにして脳に刻まれ、他者に伝染し、ステレオタイプを形作っているかを知ることなしに人種差別を乗り越えることなどできない。米国の学校・企業・警察署の改革に努める心理学者が解く無意識の現実とは。 「解説」(高史明)より一部抜粋 日本における諸問題の理解 アメリカにおけるバイアスを論じた本書は、日本国内の諸問題を理解する視座も与えてくれる。先に述べたように、黒人を野蛮や暴力と結びつけるようなバイアスは、日本においても存在している。このことは、アフリカにもルーツを持つスポーツ選手を扱うスポーツ新聞の記事が「野性味」「本能」といった見出しを掲げたり、マンガなどの創作物で描かれる黒人男性がしばしば屈強な身体と粗暴な人格の持ち主であったりすることなどからもうかがえる。日本は黒人に対するバイアスから逃れられている国というわけではなく、単に黒人の人口比率が小さく、日常生活において遭遇することが少ないために、問題が顕在化することが少ないだけなのである。 さらに、黒人に対するバイアスを日本人も有しているということ以上に本書に普遍性をもたらしているのは、潜在的なバイアスは人間の基本的な情報処理メカニズムによって実装されているという事実である。どんな人々に対して、どのようなバイアスを、どの程度の強さで抱くかは、場所により、時代により、属する文化により異なるとしても、いずれにせよ我々は潜在的なバイアスから自由ではない。本稿の「はじめに」でも述べたように、本書は黒人に関する人種問題を中心的に扱っているとしても、他の様々な集団をめぐるバイアスの理解を助けてくれる。 例えば刑事司法とコミュニティにおけるバイアスであるが、日本においては様々な主体が「不審な外国人」に注意するようにという呼びかけを頻繁に行っている。呼びかけの主体は、警察のような公的な組織の場合もあれば、民間の団体や個人の場合もある。このような呼びかけを行う人々と、それを受け止める人々が暗黙のうちに「不審者」として想定しているのは、西欧的な特徴を持つ白人よりも、東南アジア、中東、南米などの地域に由来する特徴を持つ人々ではなかろうか。「外国人」というカテゴリーと犯罪傾向とが繰り返し結びつけられることは、我々の心に潜在的なバイアスを植えつけていることだろう。「不審な外国人」として警察から職務質問を受けたり、近隣住民から通報されたりする外国人が「不審」に見えるのは、犯罪の徴候ゆえにではなく、単に風貌や言語などのせいかもしれない。 また、それらの人々が罪を犯す確率が実際に日本人(と明らかに認識できる人々)より高いとして、その問題への対処のためには、貧困や差別的で劣悪な労働環境といった状況要因に目を向けることも不可欠である。しかし、日本人がもともと抱いてきた偏見やステレオタイプに基づいて、これらの「外国人」が遺伝的に、あるいは文化的に、日本人より劣った性質の持ち主であると解釈することは実に簡単に行えてしまうため、我々を根本的な問題解決から遠ざけてしまう。 また日本において差別される「外国人」の中には、日本で生まれ、日本で育った、外見や言動では日本人と区別することが困難な人々もいる。歴史的な経緯もあって、コリアン(韓国・朝鮮人)において、そうした人々の比率は高い。そうした人々がしばしば自身の民族的ルーツが明らかにならないような姓名(「通名」)を用いるかどうかという選択を迫られていることや、そのことがアイデンティティに対して持つ複雑な影響などについても、黒人が履歴書を「漂白」することについて学んだ読者の方々は、より深く理解できるのではないかと思う。 社会の公正 潜在的なバイアスは、様々な形で不公正な結果をもたらすものであった。そして社会心理学の研究によれば、自分の属する社会や組織が自分を公正に扱ってくれると信じられることは、人間の社会的適応にとって欠かせないものである。逆に世の中が不公正であるという認知は、子どもから大人まで、あらゆる人々に苦痛をもたらし、社会的適応を妨げる。このことは、例えば自分が子どもだったころに他の生徒を「えこひいき」していた教師のことを思い出したり、自分より収入が多い人々が様々なテクニックを駆使して自分より安い税金しか納めないですませているかもしれないことを考えたりした時に生じる不快感を考えれば、容易に分かるのではないかと思う。 そして世界が概して公正であることは、人間の健全な発達の上でも欠かせない。「努力していればそのうち報われるよ」「悪いことをするとお巡りさんに捕まっちゃうよ」といった言葉は、多くの養育者が子どもに対して用いているものであろう。短期的な欲求をこらえ長期的な目標のために努力すること、善き人間であることがいつかは報われるものであり、そうでなければ罰を受けるものだと思えることが、我々の社会的適応を支えている。 重要なのは、この世界において、ある種の人々はこうした公正さから疎外され続けているということである。本書で解説されたように、黒人(特に黒人男性)は自分が罪を犯して警察に捕まることを心配する以前に、些細な過失や逸脱を理由に、あるいは落ち度とすら呼べない何かをきっかけに、権力から監視され、取り締まられ、拘束されること―場合によっては命を落とすこと―を怖れなければならないのである。このことは黒人たちに警察や法制度への不信を植えつけ、社会的適応を困難にさせ、社会全体にとっても損失となる。 本書では随所で、自分たちが尊重され公正な扱いを受けるという感覚を回復させることが、そうした処遇を受ける黒人個人にとっても社会にとっても好ましい帰結をもたらすという知見が紹介されていた。これは、翻って日本においてもこうした公正さから疎外されている人々がいないかに、改めて目を向けるきっかけとなるのではないだろうか。例えば、人種や民族、国籍を理由に「犯罪者予備軍」や「テロリスト予備軍」として扱われることだとか、公的支援から締め出されてしまうといったことは、自分たちが公正に扱われているという感覚を損ない、日本社会に対する愛着を損なうものだろう。そうやって疎外された人々が吐露する日本と日本人に対する不満を捉えて、「ほら見ろやっぱりこいつらは反日じゃないか」と言ってのけるような不公正が、まかり通ってはいないだろうか。 誰もがバイアスから自由ではないということ 偏見やステレオタイプはしばしばそれを抱く人の脆弱な心理を反映したもの、ないし病的なものとみなされることがある。実際、心理学においてもかつては、特に精神分析理論に基づいて、そのような解釈がなされることが多かった。しかし偏見やステレオタイプがそうした病理の現れである場合もあるにせよ、本書の中心的なテーマであったように、バイアスはそれ自体は正常で適応的な、基本的な心理的メカニズムによっても生じるのである。 この認識は、非常に重要である。確かに差別は、悪意や利己的な動機によってなされることもある。しかし、差別は許せないという価値観を深く内面化している人々でさえ、潜在的なバイアスによりしばしば不公正な振る舞いをしてしまうのである。差別しようという意図がなくとも、差別しているという意識も伴わないうちに、我々の認知や行動はバイアスの影響を受けてしまう。本書―人権問題について多数の良著を出版してきた版元による、「人種差別」の語を冠した翻訳書―を手に取る読者の多くは、差別問題に関心があり、平等を志向する人々ではないかと想像するが、そうした人々であっても(そしてもちろん、本稿を執筆している私にとっても)、例外ではないということである。バイアスにより不利益を受けるマイノリティ集団の人々自身もまた、例外ではない。「この世界は、とても深く、とても陰湿に、そして無意識のうちに」(本書一一頁)、自分自身が属する集団に対する認知を変容させ、健全な自己認識を揺るがすのである。 本書は、そうした我々自身が、我々の世界の見え方や我々の振る舞い方を形作っている見えないバイアスの正体を見極め、それに抗うことを助けてくれるものである。 (明石書店HPより) ジェニファー・エバーハート 著 山岡 希美 訳 高 史明 解説 発売日:2020年12月30日 ISBN:9784750351230 判型:四六判 ページ数:376
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感情とはそもそも何なのか 現代科学で読み解く感情のしくみと障害
¥2,420
SOLD OUT
最新科学が解き明かす“感情”をめぐる最前線 私たちが日々経験する“感情”のしくみと、「うつ病」などの感情障害、「自閉症」、 こころと身体の健康維持に関わる「感情調整」「瞑想」などのしくみに至るまでを紹介する 私たちはどのように“感情”を経験しているのか? ――長らく明らかにされてこなかった感情のしくみが、ここ数年のうちに「自由エネルギー原理」によってうまく説明されることが示唆された。本書では、この新しい理論に基づいて感情とは何かについて考える。「脳がからだの状態を理解し、調節するしくみ」をわかりやすく解説するとともに、うつ病をはじめとする感情障害や自閉症、また、こころと身体の健康を維持するための感情調整、瞑想などのしくみについても触れる。 [ここがポイント] ◎ 最新科学の視点で、今まで明らかにされてこなかった“感情”を理解する。 ◎ 発達障害やうつ病などの感情障害のしくみにくわえ、ウェルビーイングを維持するための感情調整、瞑想、催眠などのしくみについても解説する。 (ミネルヴァ書房HPより) 乾 敏郎 著 発売日:2018年09月30日 ISBN:9784623083725 判型:四六判 ページ数:210
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見えない性的指向 アセクシュアルのすべて 誰にも性的魅力を感じない私たちについて
¥2,530
性的な関心が少ない、性的なものに惹かれない「アセクシュアル」を自認する人が増えている。アセクシュアリティの概説から暮らしの中で受ける誤解、さらには自分が、恋人が、友人がアセクシュアルだった場合の理解と対応まで、当事者として活動してきた著者が丁寧に説くアセクシュアルコミュニティとその周辺の人たちにとって福音となる一冊。 (明石書店HPより) ジュリー・ソンドラ・デッカー 著 上田 勢子 訳 発売日:2019年04月15日 ISBN:9784750348148 判型:四六判 ページ数:320
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創元アーカイブス 結婚の深層
¥3,850
【新装復刊!】 ユング派の代表的分析家である著者が、結婚は〈幸福〉への道ではなく、伴侶が対決しつつ歩む〈自己実現〉への厳しい道の一つであると説く、大胆でラディカルな書。 結婚というものはそもそも快適でも調和的でもなく、むしろそれは、個人が自分自身およびその伴侶と近づきになり、愛と拒絶をもって相手にぶつかり、こうして、自分自身と、世界、善、悪、高み、そして深さを知ることを学ぶ個性化の場なのである。(本文より) (創元社HPより) A・グッゲンビュール=クレイグ 著 樋口 和彦 訳 武田 憲道 訳 発売日:2021年10月14日 ISBN:9784422117706 判型:A5 製本:並製 ページ数:176
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土を育てる
¥2,420
有効な温暖化対策「カーボン・ファーミング」としていま脚光を浴びるリジェネラティブ(環境再生型)農業。その第一人者による初のノンフィクション。 4年続いた凶作の苦難を乗り越え、著者が自然から学んだ「土の健康の5原則」。そこには、生態系の回復や カーボン・ファーミングのエッセンスが凝縮されている。地中の生態系のはたらきを阻害さえしなければ、あらゆる土が真に「生きた土」に変わる。さらに、やせた土地の回復は、農業の衰退、食料危機、環境破壊、気候変動問題などの対策にもつながるのだ。 21世紀のさまざまな課題解決の糸口となり、自然への見方が変わる、野心的な〈土壌のバイブル〉! (NHK出版HPより) 発売日 2022年05月30日 価格 定価:2,420円(本体2,200円) 判型 四六判 ページ数 288ページ 商品コード 0081900 Cコード C0098(外国文学その他) ISBN 978-4-14-081900-5
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ケアする惑星
¥1,760
他者なるものを慈しむ、惑星的な視座。 『アンネの日記』、『おいしいごはんが食べられますように』、ヴァージニア・ウルフ、オスカー・ワイルド、ジェイン・オースティン、ルイス・キャロル、チャールズ・ディケンズ……。 『ケアの倫理とエンパワメント』で注目された英文学者が、ケアをめぐる現代の事象を文学と自在に切り結び語る論考。 (講談社HPより) 発売日:2023年01月26日 ISBN:978-4-06-529682-0 判型:四六 ページ:280ページ
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食べものから学ぶ世界史
¥902
砂糖や小麦粉など身近な食べものから「資本主義」を解き明かす! 産業革命、世界恐慌、戦争、そしてグローバリゼーションと「金融化」まで、食べものを「商品」に変えた経済の歴史を紹介。気候危機とパンデミックを生き延びる「経世済民」を考え直すために。 (岩波書店HPより) 刊行日:2021/07/20 ISBN:9784005009374 岩波ジュニア新書・196頁
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人権と国家
¥946
今や政府・企業・組織・個人のどのレベルでも必要とされるSDGsの要・普遍的人権の理念や制度の誕生と発展をたどり、内政干渉を嫌う国家が自らの権力を制約する人権システムの発展を許した国際政治のパラドックスを解く。冷戦体制崩壊後、今日までの国際人権の実効性を吟味し、日本の人権外交・教育の質を世界標準から問う。 (岩波書店HPより) 刊行日:2022/02/18 ISBN:9784004319122 新書 ・ 252頁
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占領期カラー写真を読む
¥1,254
七〇年以上前、占領下の日本において、アメリカ人によって無数のカラー写真が撮影され、いま、それらが続々と世に出てきている。「敗者」を撮ったそれらには、当時の人々、日常、風景が、驚くほどあざやかな色とともに焼き付けられている。目を奪われてはならない。そこから何が分かるのか? 資料として活用するには? (岩波書店HPより) 刊行日:2023/02/21 ISBN:9784004319641 新書 ・ 254頁
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知的生産の技術
¥968
学校では知識は教えるけれど知識の獲得のしかたはあまり教えてくれない.メモのとり方,カードの利用法,原稿の書き方など基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらすと考える著者は,長年にわたる模索の体験と共同討論の中から確信をえて,創造的な知的生産を行なうための実践的技術についての提案を試みる. (岩波書店HPより) 刊行日:1969/07/21 ISBN:9784004150930 新書 ・ 254頁
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ものいわぬ農民
¥880
「日本のチベット」といわれた岩手県――その山村で,貧困と因襲を背負いながら黙々と働く農民たちは,いろり端で,行商してあるく著者に対して,自分のことばで,その生活の喜びや悲しみを語った.嫁姑の確執,二・三男問題,土地への愛着,子供や老人の姿等々.日本社会の最も深い鉱脈をなす農民たちの語る言葉に耳を傾けよう. (岩波書店HPより) 刊行日:1958/02/17 ISBN:9784004150091 新書 ・ 218頁
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ヒロシマ・ノート
¥902
広島の悲劇は過去のものではない.一九六三年夏,現地を訪れた著者の見たものは,十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの“悲惨と威厳”に満ちた姿であり医師たちの献身であった.著者と広島とのかかわりは深まり,その報告は人々の胸を打つ.平和の思想の人間的基盤を明らかにし,現代という時代に対決する告発の書. (岩波書店HPより) 大江 健三郎 著 刊行日:1965/06/21 ISBN:9784004150275 新書 ・ 206頁
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あいまいな日本の私
¥902
「私は渡辺一夫のユマニスムの弟子として,小説家である自分の仕事が,言葉によって表現する者と,その受容者とを,個人の,また時代の痛苦からともに恢復させ,それぞれの魂の傷を癒すものとなることをねがっています.」――一九九四年ノーベル文学賞受賞記念講演ほか,全九篇の講演に語られた,深く暖かい思索の原点と現在. (岩波書店HPより) 大江 健三郎 著 刊行日:1995/01/31 ISBN:9784004303756 新書 ・ 236頁
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これからの住まい
¥968
低成長、少子高齢化、単身世帯の増加、人生100年時代…。現在の住宅政策は社会の変化に十分に追いつけていないのではないか。戦後直後から今日まで、特に平成期の住宅事情と政策の変遷を読み解き、それが人口減少社会でさまざまな歪みを生じている現状を指摘。先進事例を紹介し、新しい時代に即した住まいのありようを展望する。 刊行日:2022/04/20 ISBN:9784004319245 新書 ・ 246頁
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歴史像を伝える
¥1,276
「歴史総合」の授業では、教室での「私たち」が、教科書をはじめとする、「私たち」を主語にした「歴史叙述」を解釈し、歴史の知識と歴史的思考力をむすびつけ、〈いま〉と過去とを往還する「歴史実践」の対話を行うことが求められる。本巻は、シリーズ第1巻の総論的な『世界史の考え方』に続き、歴史を学ぶ営みに迫る。 刊行日:2022/06/17 ISBN:9784004319184 新書 ・ 380頁
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世界史の考え方
¥1,276
近現代の日本史・世界史を総合し、近代化、大衆化、グローバル化の歴史像を考える高校の必修科目が始まる。シリーズ第一巻は中国史、イギリス史、アメリカ史、アフリカ史、中東史の歴史家とともに、近現代史の名著を題材に、歴史研究の最前線や歴史像の形成過程、概念に基づく比較、問いや対話による歴史総合の実践を示す。 刊行日:2022/03/18 ISBN:9784004319177 新書 ・ 378頁
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翻訳語成立事情
¥880
かつて,この国に「恋愛」はなかった.「色」や「恋」と区別される“高尚なる感情”を指してLoveの翻訳語がつくられたのは,ほんの一世紀前にすぎない.社会,個人,自然,権利,自由,彼・彼女などの基本語が,幕末―明治期の人びとのどのような知的格闘の中から生まれ,日本人のものの見方をどう導いてきたかを明らかにする. (岩波書店HPより) 柳父 章 著 刊行日:1982/04/20 ISBN:9784004201892 新書・ 222頁
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図書館の日本文化史
¥1,012
日本では古来さまざまな形で書籍が蓄積され、八世紀の芸亭以来、書籍の公共圏として図書館がつくられてきた。明治に導入された西洋式の図書館は、占領期にGHQの改革で日本の民主化のために万人に開かれた公共図書館のシステムへと再構築されようとしていた。その推進者キーニーの改革は挫折したが、誰もが知る権利を行使できる知の公共圏としての図書館が今こそ求められる。古代から現代まで日本文化を形成してきた図書館の歴史を繙き、これからの図書館のあり方を考える。 (筑摩書房HPより) 高山 正也 著 刊行日: 2022/09/06 ISBN:978-4-480-07508-6 新書判・304ページ
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京都思想逍遥
¥990
千二百年にわたる人々の記憶が集積した古都をそぞろ歩く。するとたちまち、源氏物語や古今和歌集に始まり、道元、世阿弥、頼山陽、鈴木大拙、三島由紀夫に至るまでのさまざまな言葉と交錯し、その“たましひ”と交響することになる。逍遥によってこそ、諸行無常の悲哀を追体験でき、権力者がつくりあげたものではない本当の歴史が理解できるのだ。東アジアの思想のみならず、古今東西の思想・文学を広く渉猟してきた著者ならではの、京都の「奥深きところ」をめぐる思想案内。 (筑摩書房HPより) 小倉 紀蔵 著 刊行日: 2019/02/05 ISBN:978-4-480-07208-5 新書判・304頁
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村の社会学
¥902
日本の村々は、長い歴史のなかで工夫に工夫を重ね、それぞれの風土に根ざした独自の生活パターンと人づきあいのあり方をかたちづくってきた。そのしくみや特徴をつぶさに観察してみると、村を閉鎖的で前近代的なものとみなすステレオタイプこそ、むしろ古びたものにみえてくる。コミュニティの危機が叫ばれる今日、その伝統を見つめなおすことは私たちに多くの示唆を与えてくれるのだ。日本の村に息づくさまざまな工夫をたどり、そのコミュニティの知恵を未来に活かす必読書。 (筑摩書房HPより) 鳥越 皓之 著 刊行日: 2023/02/07 ISBN:978-4-480-07536-9 新書・208頁
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この国の戦争
¥968
戦争を知り尽くした小説家と歴史家が、 日本近代の画期をなした言葉や史料を読み解き、 それぞれが必読と推す文芸作品や手記などにも触れつつ、徹底考察。 「わかりやすい物語」に抗して交わされ続ける対話。 「ポツダム宣言」「終戦の詔書」を読む解説コラムも収録。 (河出書房新社HPより) 奥泉 光 著/加藤 陽子 著 発売日:2022.06.21 ISBN:978-4-309-63150-9 新書 ・288ページ ● Cコード:0221
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帝国日本のプロパガンダ
¥924
日清戦争に始まり、アジア太平洋戦争の敗北で終わった帝国日本。日中開戦以降、戦いは泥沼化し、国力を総動員するため、政府・軍部・報道界は帝国の全面勝利をうたい、プロパガンダ(政治宣伝)を繰り広げた。宣伝戦はどのように先鋭化したか。なぜ国民は報道に熱狂し、戦争を支持し続けたのか。錦絵、風刺画、絵葉書、戦況写真、軍事映画など、戦争熱を喚起したビジュアル・メディアから、帝国日本のプロパガンダ史を描きだす。 (中央公論新社HPより) 貴志 俊彦 著 刊行日:2022/6/21 ISBN:978-4-12-102703-0 新書・232ページ
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ポピュリズムとは何か
¥902
イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。 (中央公論新社HPより) 水島治郎 著 初版刊行日2016/12/20 新書・256ページ ISBN978-4-12-102410-7
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言語学の考え方
¥880
SOLD OUT
誰もが近道や楽な方法を探そうとするが、結局は地道な努力しかないと思い知らされる外国語学習。だが、それでもコツは存在する。本書は、そのヒントとなる言語学の基礎知識を紹介。「語学には才能が必要」「現地に留学しなければ上達しない」「検定試験の点数が大事」「日本人は巻き舌が下手」といった間違った「語学の常識」に振りまわされず、楽しく勉強を続けるには。外国語学習法としての言語学入門。 黒田龍之助 著 初版刊行日2016/2/25 新書・208ページ ISBN:978-4-12-102363-6